特集 : 特級技能士FEATURE

『特級プラスチック成形技能士』とは?

『特級プラスチック成形技能士』は、プラスチック成形に関する国家資格の中でも、技能検定制度の最高位に位置づけられる資格です。
特級を取得するには、1級合格後に5年以上の実務経験が必要で、学科試験と実技試験の両方に合格する必要があります。試験では、プラスチック成形に関する高度な知識と技能を有し、特に管理者や監督者として必要な能力が問われる難易度の高い資格ですが、試験勉強を通して、実務に役立つマネジメントスキルや生産管理の知識を体系的に習得することができます。

宇部樹脂加工の
『プラスチック成形技能士』資格取得者

『プラスチック成形技能士』は、特級、1級、2級、3級の等級に分かれており、プラスチック成形・製造販売メーカーである宇部樹脂加工の推奨資格として、2級以上のプラスチック成形技能士資格を多くの社員が取得しています。
『プラスチック成形技能士』は、高度な知識と技能を証明する国家資格であり、2級、1級、特級と段階的に取得します。

プラスチック成形技能士 取得人数
特級プラスチック成形技能士
※2級・1級取得済
3名
1級プラスチック成形技能士
※2級取得済
11名
2級プラスチック成形技能士 22名

『特級プラスチック成形技能士』取得者
インタビュー

Q1.特級プラスチック成形技能士を取得するまでの経緯ときっかけを教えてください

私が特級プラスチック成形技能士の資格を取得したのは2024年3月で、最初の受験から4年かかってのことでした。
しっかり準備し、勉強のコツをつかんでいれば一発合格も夢ではなかったのかもしれませんが、実際にはそうもいきませんでした。
それまで、工業高校を卒業してすぐに当社に入った私は射出成形の実務経験を積みながら技能士の資格を2級、1級と取ってきました。正直なところ、1級に合格したときには「これがゴールだ」という思いもありました。通常の業務で困ることがなかったからです。
それに、社内でただ一人特級の資格を持っている工場長は山口県の技能士検定員を務め、後に技能検定功労者として表彰されるような方だったので、特級は自分には程遠いものだという思いさえありました。

そうした中、入社15年目となる2020年、その工場長から1級を持っていた社員へ「特級の試験を受けてみたい人はいないか?」と問いかけがありました。
「特級は難しい」というイメージもあったので迷いましたが、たまたま新型コロナウイルス感染症の影響で業務量も一時的に少なくなっていた時期でしたので、思いきって手を挙げることにしました。自分でも気づかないうちに、何か外部的なきっかけを待っていたのかも知れません。
結局、副工場長と2人で特級に挑むことになりました。

Q2.試験に向けた勉強内容や、苦労したことを教えてください

特級の試験は例年10月ごろに受験申請の受付が行われ、1月末ごろに試験が行われます。
受験1年目の勉強は10月から始めたので、わずか3ヶ月で試験日を迎えることになりました。
過去問を手に入れ、問題と答えを暗記することから始めたのですが、わからない言葉ばかりが出てきて、そのたびにネットで調べていました。

特に「原価管理」には苦労しました。当社では普段営業部が担当しているような領域で、原価計算などの考え方そのものを知りませんでしたし、損益分岐点などの計算式も初めて学ぶ内容でした。
また、「安全衛生管理」などは法律的な内容となるので覚えるのが難しく、苦手意識がありました。
「作業指導」や「プラスチック成形に関する現場技術」など日頃の業務を通じてイメージしやすい科目もありましたが、「管理者・監督者が有すべき技能」とされる特級と1級や2級の違いを痛感した思いでした。

勉強時間を確保するのも苦労した点です。
たとえば、「帰宅後21時から23時まで」と決めて過去問に取り組むようにしていましたが、残業などで思うように時間が取れないこともありました。ただ、「何もしない日があるのはよくない」と考え、スマホで撮った問題を寝る前に1問だけでも見直すなどしたのは自分なりの工夫だったと思います。
勉強は一人で進めることが多かったのですが、時には仕事終わりに副工場長と一緒に問題を解いたり、自分で解決できないことを工場長に質問したりすることもあり、そこは心強かったところです。

Q3.合格してからの変化や仕事への影響を教えてください

最近、従来担当してきた生産技術係としての業務に加え、新規開発室の仕事を兼務するようになりました。
これは特級の資格取得がきっかけではなく、ベテランの方から技術を継承するという意味合いが大きいのですが、社外の方と名刺を交換する機会が増えました。名刺の肩書が「1級技能士」から「特級技能士」に替わったので、「特級をお持ちなんですか。すごいですね」と言われるようになりました。

また、社内でもブログで紹介してもらったおかげで後輩から「特級を取ったんだったら教えてくださいよぉ」と冷やかされたり、「難しかったですか?」と聞かれたりすることもありました。「頑張ってよかった」という誇らしさと「特級」の重みを感じるようでした。
そのほか、変化したことは資格手当と、私自身の社内に対する視点ではないかと思います。
資格手当に関しては毎月の支給額が増えましたので、受験にかかった費用を差し引いても収入アップにつながりました。

一方、視点というのは、社内の各組織をこれまでより多少なりとも俯瞰的に見られるようになったということです。特級の試験科目には「工程管理」や「品質管理」「設備管理」などがあるのですが、こうした分野は当社でそれぞれ生産管理課や品質管理課、設備保全課が担当しているものになります。
受験を通じて、それぞれの考え方などがわかるようになったので、「こういう理由でこういう考え方をしているんだ」というふうに、これまでと違った捉え方ができるようになったと思います。

Q4.資格取得を目指す方や後輩に伝えたいことを教えてください

数年前まで、社内で特級の資格を持っているのが工場長だけでしたので、「特級は自分には無縁なもの」「自分には合格できないもの」と感じていた社員は私だけではなかったと思います。
たしかに、簡単に合格できると言い切れるようなものではありません。しかし、私が合格できたということで、けっして遠い存在ではないということはわかってもらえたのではないかと思います。

社内の特級技能士取得者が工場長のほか、副工場長、私の3名となった今、「頑張れば自分もできるんじゃないか」という気持ちで挑戦する人が出てくれば、勉強方法など質問にも答えられそうですし、過去問の解説などサポートできることもあると思います。

特級技能士は管理者向けの資格なので、現在の業務についてはダイレクトに関係している部分は少ないと感じています。しかし将来のことを考えると、間違いなくできること、知っていることが増えるので活かせる場面が出てくると思いますし、なにより仕事をしていくうえでの自信と信頼につながっていくはずです。
ものづくりの醍醐味を味わえるだけでなく、こうした技能検定などを通じて自分自身の成長を実感できるのは、この仕事の魅力のひとつではないでしょうか。

私自身、特級技能士に合格したことはゴールではなくスタートだと思っています。
受験で学んだことを活かしながら、これからの業務に取り組んでいきたいです。

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